オランダの「猫バス」2006年10月01日 01時33分51秒

オランダの「ネコバス」
 「ネコバス」といえば、アニメの「トトロ」にでてくる楽しい乗り物 ネットで探しても、九州や信州や日本各地で多々見られます 動く物、バス停のデザイン、幼稚園のディスプレイなどがいろいろあり、日本中の「人気物・にんきもの」です

 私たちがオランダを旅行中に、たまたまアイントホーフェン駅前で見かけたのが、何となく「ネコバス」なのです 「似てるような似てないような・・」 でも私は見た瞬間、「あっ、ネコバスだ!」と思ったのです 思わず写真を撮りました 判断はみなさんに任せます 因みに私は熱狂的な宮崎駿のファンではありません

インチョン空港と東アジアのハブ空港2006年10月01日 15時38分54秒

ソウル・インチョン空港
 今回のヨーロッパ行きは大韓航空を利用した 当然乗り継ぎである 乗り継ぎで大韓航空を利用する人は、よほど時間が逼迫していない限り、インチョン空港で時間を「つぶす」ことになる 私たちの場合、なんと「一晩ここで時間をつぶした!*」 この空港は以前の古い金浦(キンポ)空港とは違って、「大きい、広い、店が多い、きれい」などというメリットがある。      

 他に韓国政府の方針であろうが、「東アジアのハブ(中核)空港」の地位をねらっている 「当面の敵」は新しいホンコン国際空港であろうか 前の啓徳(カイタック)空港は町のすぐそばだったが、摩天楼をかすめるように急旋回しながら海面すれすれに着陸するのは、やや緊張したものだ これは有名な話であった

 さて、「東アジアのハブ(中核)空港」候補になぜ日本の関空や成田が出ないのか?答えは「狭い、不便、町から遠い」などの欠点の他、コンセプトが古すぎるのだ 新ホンコン空港は、イギリスの格付け会社による「世界でいちばん満足の空港」ランキングで、2001から2005までの5年間首位になった。因みに今年2006の一位はシンガポールのチャンギ空港にとられて、二位になった しかし公式HPは「アジアのスーパーハブ(空港)をねらう」と大語している

 だからソウル空港は現在の所、ホンコン空港に負けている では航空会社同士ではどうか ホンコンのキャセイ航空は、英国スカイトラックス社のランキングでは、2005-2006の二年連続最高賞を受賞した サーヴィスがすばらしいうえ、重大事故は1972年以来一度も起きていない 機のエンジンはすべて、あの「ロールス・ロイス社製」である

 では大韓航空はどうか?機内誌「モーニング・カーム」が世界機内娯楽協会の最優秀誌部門二位、機内食は2006機内食協会ランキングで「ビビンククス」が最優秀の金賞受賞で、1998年の「ビビンバ」に次ぐ二度目の受賞である 機内ワインも旅行専門誌のコンペティションで2002以来3年連続第一位を獲得した それでも、全体的にはキャセイが「ややリード」といえる


 話は戻って仁川(インチョン)空港はどうか?開港の年にいきなりIATA(国際民間輸送協会)から、サーヴィス分野世界四位を受け、ISOから空港運営者が世界の空港で初めてISO9001と14001を取得した 2001年に開港してから日が浅いが、前向きの姿勢として評価される 

 インチョンはまた"Airport Service Exellence Awards for 2005"「世界のベスト空港賞」をACIとIATAから受けている この時の二位はホンコンとシンガポール空港で、クアラルンプール空港が三位だった また同時に「もっとも改善された空港」部門も一位であったし、「2500万人以上に利用された空港」部門のサーヴィスでも一位になっている こうなると、ホンコンとソウルはトータルでは「イーヴン」になりそうだ

 このようにだらだら書くと、何が何やら分からないが、要は日本の空港がこういう所に名前がでてこないことだ わずかに名古屋が「500-1500万人が利用された空港」部門にやっと一位ででてくるだけである 「アジアのハブ空港を目指す」といってもなかなか難しい

 韓国は大韓、アシアナの両航空で合わせると、中国・日本各地などの路線が圧倒的に多く、「集客力」がJAL,ANAとまったく違う アジア各地から集めた客をインチョンに集め、デューティー・フリーで物を買わせ、アメリカやヨーロッパ、アジア各地に送り込む-というやり方はウマイ そのデューティー・フリーでも、日本円で買うと日本円、米ドルでもユーロでもちゃんとその通貨で釣りをくれる トランジット(乗り継ぎ)客には、「出国」しなくても泊まれるホテルも空港内にある

 そういう意味では、日本の空港ではいろいろ制限がありすぎる 飛行機の着陸料が高すぎるのも、他と比べて不利である これはすでに何度も論議されている またこのたびの旅では、オランダのスキポール空港も利用したが、空港用地の広さだけではない利用者の便利さやただの「飛行機の駅」ではないプラスアルファが散見されて、「空港利用の喜び」が増した 

 一言で言えば、「一日中でもそこで生活できる」ことだ 大きな都市の大ショッピングモールのように、必要なものは何でもある どうでも良いことだが、スキポールのスーパーには日本食品が小さな店くらい置いてあった ペットが入れる店もあった 車いすなど「障害者」も分け隔てなく利用できるコンセプトも素敵である 上は高級レストランからハンバーガーショップもあったし、それぞれのスペースの取り方にゆとりがある 

 名古屋のセントレア空港は、さすがに新しいコンセプトで作られていて大変好評らしいが、私はまだ行っていないので、講評は避けたい それでも公式HPを見ると、「なかなかやっている」らしいのである 早く日本の空港が「グローバルなレヴェル」になって欲しいと思うこの頃である

なんじゃこりゃ?!アムステルダムは変な町2006年10月02日 11時45分33秒

アムスのむき出し簡易型男子トイレ
 昨日が長かったので、今日はショートで・・

 アムステルダムの「アンネの家」に行った時のこと、そばの西教会の回りにトラックが何台も停まって大きな物体を下ろしています それが写真の物です それが何か分からなくて、教会の周りを回るとなんと10以上もあるのです 世界を少しは回った私もこれは見たことがありません 

 そばによってシゲシゲと観察しました 高さは人間より高く、120度ごとにアナが一個開いています 間はしきり風になっています カミさんは「大きな花入れのようね」といいますが、何か少し違うようです

 アナは20cmくらいで、底は見えないくらい深いのです でも、なんか臭うーのです 「あっひょっとして!」 そうなのです 「男子用の屋外トイレ」だったのです 日本だったら、例え男子用でも周りを囲っています

 ここは歩道の上ですから、若い女性も当たり前に歩いています 通りすがりにちらっと見れば、「最中のナニ」がしっかり見えてしまいます オジさんの私でもものすごく恥ずかしいのです 「すごいなあーここの男は!」 

 そうこうしていると、若い男性がやってきて、当たり前にジッパーを下ろして「作業」を始めました 回りを窺う様子もありません 何でも面白がって写真に撮る私も、ちょっと撮れませんでした

 感心しながら「女性用」を探しました 覗くためではありません 研究心のためです ありました!さすがに「むき出し」ではありませんでした 日本の簡易型と同じ感じです 「やっぱりなあ」というと、カミさんは「当たり前でしょう」とさらっと言った

 それにしても、他の町ではドライヴ中にトイレがなくて困った国なのに、なぜアムスだけ一カ所に十数台もあるのだろうか? よく見ると、歩道脇に小さな舞台が作られている最中でした コンサートか何かのイヴェントがあるのでしょう それにしても、オランダ男性は「自分自身」によほど自信があるのでしょうか?また、この国では、「わいせつ物ちん列罪」は適用されないのでしょうか?

韓国の「のり巻き」2006年10月03日 12時23分31秒

インチョンの「巻きずし」ではない「のり巻き」
 ソウル・インチョン空港の時間待ちに食堂に入った 概して、韓国は食料品・食べ物は日本より安いのだが、レートの関係かそれとも空港だからか、「焼き肉定食」などは思ったほど安くない 「どうせ機内で例のビビンバがでるし・・」と軽めを頼む!「のり巻き」である 日本円にして400円ちょっとで、まあ安い

 日本では「巻きずし」も「のり巻き」も大体同じような物である、というか同じだ しかし韓国のものは、「のり巻き」であっても、「巻きずし」では決してない 中にお酢が入ってないのだ 最初食べた時は「あっ、酢を入れ忘れている」と思ったが、どうもそうではないらしい しかも砂糖だけはちゃんと入っているという代物だ

 と書くと、「不味そうだ」という表現に聞こえるが、そうではない 慣れればこれがけっこうイケてるのだ まず女性、子どもは好むだろう そして「これはスシ」と思うからいけないので、「おかずの詰まったのり付変形おにぎり」と思えばいいのだ いや思わなくても良い

 それに日本なら穴子、たまご、かんぴょうが、「ちょっとだけよ」と入っているのに、韓国版は野菜類をたっぷり詰め込んで、「さあこれでどうだ」と迫ってくる さらにキムチの皿とお汁が別に付くのだ ということは一応「定食」なのである これは値段から言うとスゴイ! 

 ずっと昔、韓国で焼き肉を食べに行ったら、頼んでないのにキムチ各種の小皿がどんどん出てきて慌てた あとで「これも料金のうち」と分かって安堵した そういう韓国式のやさしいサーヴィスなのだ

 いつの間にか、私はこの安め、いやはっきり安い食べ物が好きになってしまった インチョンに行くたびに、注文してしまう これに生ビールをいっしょに頼む しかし他人から見ると、「オッサンがビールを飲みながら、嬉しそうにのり巻きをつまんでいる」図は少々滑稽かも知れない

大韓航空名物、ビビンバは何度でも食べたいのです2006年10月04日 11時43分44秒

大韓航空の機内食ビビンバ
 私は「スター・アライアンス」と「スカイ・チーム」のマイレージを貯めている ドラッグやスーパーのポイントカードと同じで、あとで「ごほうび」がもらえる楽しみがある 他社のもたくさん持っているが、一つに絞らないとなかなかこれももらえない

 大韓航空(KE)は「スカイ・チーム」のメンバーであるが、そういうこととは別に機内食の楽しみがある どこのエアラインでも食事の「ウリ」があるのだが、なぜか私は日本の航空会社の「日本食」より大韓航空の「ビビンバ」の方が口に合うのだ ただし、日本ー韓国間ではこれが出ない 冷製の簡素な食事だけだ それでも、日本の国内線よりずっとマシだが・・ 

 だから、ビビンバを食べるためには、インチョンを通って他の国に行くしかない だからといって、食べるためだけにKEに乗ったりはしない 大体、最近のアジア系エアラインは、客室乗務員(キャビン・アテンダント)がきれいで、愛想もサーヴィス態度も良い 食べ物もまあイケる これに反して、子育てが済んだオバさんが、大きな体を揺すって投げるように食事を置く航空会社もある それは「欧米か?!」

 特に良いのは、アンケートでずっと一番だった有名なシンガポール航空、あとはタイ航空、キャセイ航空(ホンコン)、最近はカタールなんかもいいーと聞くが、これはまだ未搭乗である そして、何回も使い今回も使ったKEである 

 KEは私たちが結婚した翌年の「おおむかし」、ニューヨーク=ソウル・キンポ=大阪・伊丹で使ったが、それはヒドいものであった 翌年同じKE007便は「ソ連」の戦闘機に撃墜され、全員が死亡してニュースで大きく扱われた しかしKEも最近は機体も新しいし、サーヴィスも良く食べ物も良くなった

 そういう中の代表が「ビビンバ」である 上の写真を見ていただくと分かるが、ホカホカご飯と具とヌクヌクわかめスープ、とピリッとキムチ等々である 量こそ少ないので、大学の相撲部員には物足りないだろうが、中年にはこれで十分 タダのワインをお代わりしながら食べると、また格別に良い チューブに入ったコチュジャンも、自分で好みに合わせられてグーだ 日本食の地味な味より、ぴりっとくる辛さが堪らない

 もう一つ「ビビンバ」の長所を書き足すと、大してすることがない機内で、自分の手を動かして、自分の好みに合わせて「調理」できることだ この能動性が良い ちょうど「お好み焼き屋」や「もんじゃ焼き屋」で、「あっ、入れすぎた!」とか言いながら食べるあの感覚である ただの「宛い扶持」でない「創造性」があるのだ

 なんといっても、KEのビビンバは、世界機内食協会ランキングに1998に金賞を受賞しているスグレモノだ 今年もKEは「ビビンクス」で再び金賞を取った こういう「カラメ」の食べ物が、世界でも理解されてきたということだろう

 KEは格安券もけっこうあるし、「南回り」の他のアジア系エアラインより、ヨーロッパへの実質搭乗時間が短いのが「ウリ」である ただ欠点は、ヨーロッパの各都市への就航路線が少ないこととその便数が少ないことだ 路線によっては毎日は飛ばないから、ビジネスマンには不利だ だから時間の余裕がある人向きだと言えよう ここまで書いていると思い出してきた ウーン、またビビンバが食べたい!

オランダの道路・交通事情と人々の生活(1)2006年10月05日 17時37分41秒

アムステルダムの歩道
 上はオランダの首都、アムステルダムの古い地区である。取り立ててどうということもない写真のようだが、日本と違う所がいくつかある。もちろん「車が右側通行」とか言うことではない。道路造りのコンセプトの話である。

 写真の左半分を見ていただきたい。左端が歩行者専用、その右の色が濃い部分が自転車道、たまにバイクが走っていたりする。その右はトラックが荷物を下ろしたり、人が乗降する場所だ。

 さらに外の灰色のえぐれた部分はパーキングで、ここの場合は無料。もっと町の中心部では、駐車券を自動販売機で買い、車の窓に張っておく。駐車部分のしきり方が、日本とは違って数台ずつになっている。ここの人の駐車技術は絶品で、車長+60cmあればハンドルを切り返しながら何とか入れてしまう。これは38年運転している私にもできない。

 このように、日本で言う「歩道部分」が縁石つきではっきり色分けし、なおかつスペースにゆとりがある。日本ではそれが一緒だから、「メールを打ちながら片手でハンドルを握る」若者が、老人にぶつかって死なせた・・とかいう事故(事件)が起こる。このくらいスペース区分帯があると、事故も起こりにくそうだ。

 さらに気がつくのは、この国が「自転車王国」ということだ。走る自転車が多い。また、自転車をつなぐスペースがたくさんある。これで「違法駐車」が防げる。もちろんこの普及も、この国の最高地点が58mとかいう「完全平坦地」のおかげもあるが、さらに健康志向とスローライフのライフスタイルがあると思われる。

 この国はもともと国土が狭く、そのため歴史的には海外進出をし、現在でも海外移民の多い国である。土地の狭さはまた干拓をもたらした。学校時代に社会科で、「オランダ=干拓=ポルダー・・」などと習った記憶もあるであろう。そういう土地が狭く、人口密度の高い国でも、こういう「社会資本」のスペースは「贅沢」につかう。

 歴史も町作りの歴史も違うから一概にはいえないが、日本人から見るとうらやましい。日本は「物がないのを、精神で置き換えた」文化である。オランダ人も決して豊かでは無かったから、「外食」はしなかったらしい。今でもレストランは少ないように思える。

 こうことから、外国人から「オランダ人はケチ」と見なされ、「ダッチ・アカウント」という「ネガティヴ」な表現をされてきた。しかし、このような町作りのコンセプトは、決して「ケチ」ではない。ここに彼らの合理性を見る。

 週末にヨットで運河を走り、夏の夕方にマイボートで町中の小さな運河で夕涼みをする、休みの日は家族で自転車を連ねて、「自家製サンド」を持ってピクニック、キャンピングカーを持つ人はみんなでキャンプ場などという生活は、彼らが本当の「ケチ」ではなく、金の使い方が違うだけだ。

 日本人は「家族で外出」になると、必ず「ファミ・レス」に寄る。また家族で何万円も出して「テーマ・パーク」で遊ぶ。また学生が携帯を打ちながら歩いている。さらに若い子がいわゆる「ブランド・バッグ」を当たり前に持っている。

 今回の旅では、上のようなオランダ人はほとんど見かけなかった。どちらが豊かな生活なのだろうか?「本当の豊かさとは何か」を、日本人はもっと考える必要があるかもしれない。

美味かった豚リブのステーキ2006年10月07日 00時58分49秒

豚バラのグリル
 いま、先日行った「ベネルクス三国」旅行の写真を整理し、HPに上げている最中です 写真も800枚以上撮ったので、整理もたいへんです そういう写真の中に、オランダで食べた「豚リブのステーキ」の写真があります それを見ていて、思い出しました これ美味かったんです、ホント!

 私は子どもの頃から、「骨付き・・・肉」というのが嫌いでした 味は分からないのですが、「見た目がグロテスク」なものは嫌いでした ところが最近、家でもトリの骨付き唐揚げのような物を食べられようになりました 「カミさんが「騙されたと思って・・」というので、一口だけ食べたら「うううま~い!」 何十年という人生、何かかなり損した気分です

 そういう訳で、今回も何となく美味そうだったので、頼んでみました 旅先という開放的な気分も影響していました まず、オランダなのに「ベルギービール」を注文、「ああのどが鳴る!コクがあるなあ!」、その後、爽やかなオランダ地元の「ハイネケン」を注文しました その頃には、少し焦げ目がついた「グリル」がやってきました 一口食べてからビールを飲み忘れるほど、食べ続けていました 

 途中で、「はっ」と気が付いて撮ったのが、この写真です だから、肉は1/3ほど食べてしまっています この香ばしさも、少し甘いソースも絶品・・・ という訳で、この写真でまた思い出しました それにしても美味かったなあ~

「フェルメールの墓」参り2006年10月08日 00時26分22秒

フェルメールの墓
 オランダのデルフトは、「真珠のイアリングの少女」の画家、ヨハネス・フェルメールが生まれ、亡くなった町である。その絵は私の大好きな絵の一枚である。私が今回オランダに来たのも、その絵の少女に「再会」するためであった。数年前に彼女とは神戸市立美術館で初めて会った。それ以来、彼女の魅力に取り憑かれた。

 画家は43年の長くない人生のほとんどを、この田舎の美しい町で過ごした。彼は子沢山で、いつも貧乏で、そして義母の家で経済的に支えられて生活した。そしてたぶん貧困の労苦から亡くなったのだろう。残された絵は世界中で30枚余しかない。それでも彼の絵は素晴らしい。

 彼の死後名前はいつしか忘れられ、ずっと後にその良さが再発見されるまで、人々の記憶から消滅した。そういう画家であるから墓の特定も出来ず、「再発見」されてから、教会の記録が呼び戻された。これは「四季」の作曲家ヴィヴァルディーと同じである。

 ヴィヴァルディーも現在は墓がない。ウィーンの工科大学を建てる際に、墓地そのものが取り壊されたからだ。これはとてもはかない。私は彼の墓を見つけようとしたが、大学建物の壁に、「ヴィヴァルディーの墓が昔ここにあった」という意味の小さなプレートがあるのみだった。

 フェルメールの場合は、それでもこの町の旧教会にちゃんと墓がある。オランダ政府観光局の公式サイトには、「墓は見つかっていないが、埋められた教会の記録がある」意が書かれている。それでは写真の「墓」はいったい何か?

 傍で見ると、実に本物臭いのだ。石の擦り減り方といい、古そうな色といい、「これは1975年にはめられた記念の石碑」といわれても、俄には信じがたい。それほどリアルな「墓石」である。果たしてこれが偽物なのだろうか?

 「私は墓が大好きだ」・・というと、「かなり危ないオジさん」になってしまうが、大好きな歴史上の人物、音楽家、画家などの墓前に立つと、なぜかその歴史に入って行けるような気がするのである。だから、かなりいろんな墓参りをした。私のHP「このたびのたび」を見ていただければ、お分かりになるだろう。

 いつも外国で墓参りをする時思うのだが、墓が教会の外にあるときは問題はないが、教会の床にある場合は、後世の人々がその上を歩き回るのである。しかもすでに数百キロもある石が死体の上に載せられているのだ。(土葬が原則) イギリスのストラトフォードuAにある文豪シェークスピアの墓も教会の床にあった。

 また日本人的感覚からいうと、死者の上に乗るのは何となく「死者に対する冒涜」という感じなのだ。すでに灰ではなく、まだ骨と衣装が残っているから、私には「罪深い」感じがするのだ。といいながら、写真で私はその上に載っているのだが・・。(アーメン、合掌)

 それからもう一つ、今年が「生誕250年」になる私の大好きなWAモーツァルトも、貧しかったのと当時の風習で、正確にいうと墓はないが、ウィーンのマルクス墓地と中央墓地に記念碑はある。このあたりの話は、有名なアカデミー賞受賞映画「アマデウス」に出てくる。

 このように、現在「天才」とうたわれる人々も、生前、または死亡直後、貧乏だったり忘れられて、墓が「不明」になっている。しかし、残されたその優れた作品によって、その生命や名声が永遠の物になっている。結局、墓があろうと無かろうと、立派であろうと貧弱であろうと、良い物はずっと残ってゆくのである。「歴史が判断する」というのは、そういうことなのであろう。

参考リンク:フェルメール関係ページ(HP「このたびのたび」)
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/photoalbum/NL_Delft_Vermeer/Veermeer.htm

神戸市に贈られたすばらしい「聖母子像」2006年10月08日 22時34分03秒

神戸に贈られたアントワープ・大聖堂の聖母子像複製説明
 ベルギーのアントワープという北部の古い大都市がある。そこには有名な画家・「ルーベンスの家」がある。ルーベンスはオランダのレンブラントやスペインのエル・グレコと並んで多作の画家である。それは彼らが自分の工房をもち、弟子などに自分の名前で、絵を描かせていたからである。彼らの絵は生前から評判で、金持ちたちが争って買い求めたからである。

 これに対して、前回ここで書いたフェルメールなぞは、人生全体でも30点余しかなく、寡作であった。彼は若くして貧困のうちに亡くなったことは、すでに書いた。やはりオランダの画家、ゴッホは絵が売れなくて、弟だけが買っていた・・という逸話は有名である。ところが死後絵が認められ、今では億という値段が付くらしい。ただ残した点数が多かったおかげで、アムステルダムに「国立ゴッホ美術館」があるのは、人類にとって幸せなことだ。

 さて話は戻って、アントワープである。この町は「ゆかりの町」だけあって、ルーベンスの絵はたいへん多い。彼の家だけでなく、当地の王立美術館には、彼だけの大きな展示室があって、巨大な絵がたくさん掛けてある。さらに、首都ブリュッセルの王立美術館にも、驚くくらい彼の絵がある。

 そういう町だから、市の中心・フルン広場には彼の大きな銅像が由緒あるノートルダム大寺院をバックに、人々に手を広げている。さらにそのノートルダム寺院の中には、彼の傑作「キリストの昇架」他数点が、教会の大変重要な宗教画として、真ん中に置かれている。その辺は下にあるリンクで見ていただきたい。

 そういう大作の近くの大きな柱脇に大理石の「聖母子像」がある。14cの物だという。マリアの表情は柔和で優しさに満ちている。幼子は母の顔に手を伸ばしているが、この表情も穏やかである。14Cというと、イタリアではあのルネサンスが始まる前くらいで、このフランドルではルネサンス開始はやや遅れる。ということは、まだルネサンス前といって良い。

 ルネッサンス以前の宗教画、彫刻類は、概して表情が硬く、マリアはこわい顔だし、イエスは大人びてかわいくない。デッサンも何かおかしい。ところがこの彫刻を見て驚いた。マリアもイエスも表情の穏やかで安堵の表情だ。特にマリアの顔が良い。しばらく見ていたい彫刻である。不勉強で、作家もなにも分からないが、写真に撮った。

 その「聖母子像のレプリカ」が、震災で被害を受けた姉妹都市に贈られた-と壁に日本語で掲示されていた。それが上の写真である。「六甲のカトリック教会にある」と書いてある。まことに「心のこもった贈り物」といえる。

 こういう「国際交流」はたいへん良いことだ。不幸な歴史のあった日中、日韓間も「姉妹都市」縁組みはたくさんあるが、もっと文化的、人的交流を増やせばよい。戦争、紛争は、人の心にある「差別・偏見」から生み出されてゆくのだから。

参考リンク:「ルーベンスの町、アントワープ」(HP:このたびのたび)
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/photoalbum/B_Antwerpen/RubensCathedral.htm

日本は良い国、トイレは「自由主義」2006年10月09日 17時59分14秒

デルフトの有料トイレ
 写真はオランダ・デルフトの新教会脇にある「有料公衆トイレ」である。朝からずっと自動車道を運転・移動してきた私たちは、焼き物で知られるこの町に入ってきた。オランダの自動車道は「無料」だが、反面「サーヴィス・エリア」が少なく、当然トイレも少ない。だからいったん自動車道にのると、少々はナニをガマンして運転せざるを得ない。

 デルフトに着いた頃には、わたしの「私物のフクロ」はパンパンに膨らんでいた。しかし小さな公園らしい所にも、そういう物は見られなかった。駐車スペースを何とか見つけ車をとめると、町の広場に向かって早足で歩き始めた。もうかなり限界に近づいていた。路上に石でもあってつまずいたら、一気に変化が起こってしまいそうであった。

 「もう建物の陰でやってしまおうか、あの壁の裏はどうか・・」と考え始めた頃、幅広い歩道の上に「有料トイレ」があった!しかし、その前には2人のご婦人が並んでいた。それでも「あと数分待てば・・・」と待つことにした。しかしご婦人のナニは長い。一人出てもまた次の婦人が・・・!私はいつしか無意識に足踏みをしていた。

 長い時間が過ぎた・・ような気がした。カチッと鍵が開いて、婦人が出てきた。やれやれと思ってポケットからコインを出して数えた。0.5ユーロ(日本円約75円)・・・あった!写真左の管理のオジさんが手を出してコインを取った。ここでもしコインが無かったら、もちろんトイレは使えない。ヤケクソで「自棄(ヤケ)小便」を物陰でするしかなかった。「あ~」その後の快感は口では言えないが、少ししびれ感が残った。

 ヨーロッパ諸国では、このような有料トイレが大変多い。下の「世界のトイレ」で書いているが、デメリットだけではなくそのメリットも多い。しかし本当に小銭の持ち合わせいない者だっている。そう言う者は「小便する権利」もないのか?!「人権侵害」ではないのか?こういうことについて、「アムネスティ」などの人権擁護団体は何も言わないのだろうか?

 日本は良い国である。ヨーロッパを旅するごとに、日本の良さを知らされる。トイレに行きたくなったら、どこにでもあるコンビニ、コーヒーショップ、スーパー、デパートなどに飛び込めば、無料(タダ)で「大も小」も自由に気の済むまで心おきなく用が足せる。紙もちゃんと置いてある。こんな素晴らしい国が世界にあろうか?!コインが無くても、決して卑屈にならずにすむ。こういう国こそが、世界に胸を張って「自由主義」を誇って良いのである。

 昨年、東京・銀座を歩いていて、「自然が私を呼び出した」 そこで、近くにあったその業界では老舗に属する有名なデパートに飛び込んだ。階段を早足で上がって、個室に飛び込んだ。小綺麗な部屋で、掃除も良くできている、家庭の個室の雰囲気さえあった。その後、私は大満足の気持ちで出ていった。その時は買い物はしなかった。玄関を出た時に「きれいなおねえさん」がこう言った。「ありがとうございました。また、いらっしゃいませ」日本は素晴らしい国である。

リンク「世界のトイレの話」(筆者HP「このたびのたび」)
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/niceshortstory/story7/st7toilet.htm