神戸市に贈られたすばらしい「聖母子像」 ― 2006年10月08日 22時34分03秒
ベルギーのアントワープという北部の古い大都市がある。そこには有名な画家・「ルーベンスの家」がある。ルーベンスはオランダのレンブラントやスペインのエル・グレコと並んで多作の画家である。それは彼らが自分の工房をもち、弟子などに自分の名前で、絵を描かせていたからである。彼らの絵は生前から評判で、金持ちたちが争って買い求めたからである。
これに対して、前回ここで書いたフェルメールなぞは、人生全体でも30点余しかなく、寡作であった。彼は若くして貧困のうちに亡くなったことは、すでに書いた。やはりオランダの画家、ゴッホは絵が売れなくて、弟だけが買っていた・・という逸話は有名である。ところが死後絵が認められ、今では億という値段が付くらしい。ただ残した点数が多かったおかげで、アムステルダムに「国立ゴッホ美術館」があるのは、人類にとって幸せなことだ。
さて話は戻って、アントワープである。この町は「ゆかりの町」だけあって、ルーベンスの絵はたいへん多い。彼の家だけでなく、当地の王立美術館には、彼だけの大きな展示室があって、巨大な絵がたくさん掛けてある。さらに、首都ブリュッセルの王立美術館にも、驚くくらい彼の絵がある。
そういう町だから、市の中心・フルン広場には彼の大きな銅像が由緒あるノートルダム大寺院をバックに、人々に手を広げている。さらにそのノートルダム寺院の中には、彼の傑作「キリストの昇架」他数点が、教会の大変重要な宗教画として、真ん中に置かれている。その辺は下にあるリンクで見ていただきたい。
そういう大作の近くの大きな柱脇に大理石の「聖母子像」がある。14cの物だという。マリアの表情は柔和で優しさに満ちている。幼子は母の顔に手を伸ばしているが、この表情も穏やかである。14Cというと、イタリアではあのルネサンスが始まる前くらいで、このフランドルではルネサンス開始はやや遅れる。ということは、まだルネサンス前といって良い。
ルネッサンス以前の宗教画、彫刻類は、概して表情が硬く、マリアはこわい顔だし、イエスは大人びてかわいくない。デッサンも何かおかしい。ところがこの彫刻を見て驚いた。マリアもイエスも表情の穏やかで安堵の表情だ。特にマリアの顔が良い。しばらく見ていたい彫刻である。不勉強で、作家もなにも分からないが、写真に撮った。
その「聖母子像のレプリカ」が、震災で被害を受けた姉妹都市に贈られた-と壁に日本語で掲示されていた。それが上の写真である。「六甲のカトリック教会にある」と書いてある。まことに「心のこもった贈り物」といえる。
こういう「国際交流」はたいへん良いことだ。不幸な歴史のあった日中、日韓間も「姉妹都市」縁組みはたくさんあるが、もっと文化的、人的交流を増やせばよい。戦争、紛争は、人の心にある「差別・偏見」から生み出されてゆくのだから。
参考リンク:「ルーベンスの町、アントワープ」(HP:このたびのたび)
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/photoalbum/B_Antwerpen/RubensCathedral.htm
これに対して、前回ここで書いたフェルメールなぞは、人生全体でも30点余しかなく、寡作であった。彼は若くして貧困のうちに亡くなったことは、すでに書いた。やはりオランダの画家、ゴッホは絵が売れなくて、弟だけが買っていた・・という逸話は有名である。ところが死後絵が認められ、今では億という値段が付くらしい。ただ残した点数が多かったおかげで、アムステルダムに「国立ゴッホ美術館」があるのは、人類にとって幸せなことだ。
さて話は戻って、アントワープである。この町は「ゆかりの町」だけあって、ルーベンスの絵はたいへん多い。彼の家だけでなく、当地の王立美術館には、彼だけの大きな展示室があって、巨大な絵がたくさん掛けてある。さらに、首都ブリュッセルの王立美術館にも、驚くくらい彼の絵がある。
そういう町だから、市の中心・フルン広場には彼の大きな銅像が由緒あるノートルダム大寺院をバックに、人々に手を広げている。さらにそのノートルダム寺院の中には、彼の傑作「キリストの昇架」他数点が、教会の大変重要な宗教画として、真ん中に置かれている。その辺は下にあるリンクで見ていただきたい。
そういう大作の近くの大きな柱脇に大理石の「聖母子像」がある。14cの物だという。マリアの表情は柔和で優しさに満ちている。幼子は母の顔に手を伸ばしているが、この表情も穏やかである。14Cというと、イタリアではあのルネサンスが始まる前くらいで、このフランドルではルネサンス開始はやや遅れる。ということは、まだルネサンス前といって良い。
ルネッサンス以前の宗教画、彫刻類は、概して表情が硬く、マリアはこわい顔だし、イエスは大人びてかわいくない。デッサンも何かおかしい。ところがこの彫刻を見て驚いた。マリアもイエスも表情の穏やかで安堵の表情だ。特にマリアの顔が良い。しばらく見ていたい彫刻である。不勉強で、作家もなにも分からないが、写真に撮った。
その「聖母子像のレプリカ」が、震災で被害を受けた姉妹都市に贈られた-と壁に日本語で掲示されていた。それが上の写真である。「六甲のカトリック教会にある」と書いてある。まことに「心のこもった贈り物」といえる。
こういう「国際交流」はたいへん良いことだ。不幸な歴史のあった日中、日韓間も「姉妹都市」縁組みはたくさんあるが、もっと文化的、人的交流を増やせばよい。戦争、紛争は、人の心にある「差別・偏見」から生み出されてゆくのだから。
参考リンク:「ルーベンスの町、アントワープ」(HP:このたびのたび)
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/photoalbum/B_Antwerpen/RubensCathedral.htm
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