ドイツ・メルケル首相の「勇気ある発言」2008年03月25日 17時03分32秒

 世界のニューズウォッチャーの方にはすでに旧聞に属するかもしれないが、去る3月18日にドイツ首相として初めてイスラエルの国会で演説し、かつてナチが行った「ユダヤ人大虐殺」についての謝罪をした

 その要旨を少し長いが毎日新聞のHPから紹介する(以下引用)

【エルサレム前田英司】メルケル独首相は18日、イスラエル国会(クネセト)で演説し、ナチス時代のユダヤ人大虐殺(ホロコースト)について改めて謝罪した。また、イランの核開発問題やパレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃にさらされるイスラエルの安全保障に強い理解を示し、ドイツがイスラエルに対する支援を続ける姿勢を強調した。

 メルケル首相は16日から18日までイスラエルを訪問。両政府の主要閣僚が一堂に会して初の政府間協議を開き、関係強化を確認したほか、外相会談や国防相会談なども並行して行い、中東和平やイラン核開発などについて協議した。パレスチナ自治区は訪問しなかった。

 メルケル首相は演説で、「ドイツ人はホロコーストを心から恥じている」と率直に語り、「犠牲になった方々、生き延びた人を助けてくれた方々すべてに頭を下げる」と謝罪した。
(ここまで引用:毎日新聞 2008年3月19日 東京夕刊)

 私はさらにその時の映像も見ていた これまでにもドイツ要人では、男性の二人の大統領が同様に謝罪した しかし一部の国会議員がドイツ語の演説に反発し退場している 今回は女性の首相としては初めてである 日本のマスコミ報道では「抗議の退席」は見えなかった

 メルケルはCDUのリーダーであるが、2005年の総選挙では当時の与党シュレーダーSPDに僅差で勝利した しかし単独では政権は成立しないため「緑の党」と連立協議したが不成立、結局はこのCDUとSPDの二党が「呉越同舟」大連立して政局は落ち着いた そのためメルケル内閣は<「仇敵」が内閣内に半数いる>という不思議な内閣になった

 ふつうなら「連立内閣」のリーダーの指導性は強くない 強いリーダーシップは取れない それでも彼女はむかしの「鉄の女」英・サッチャーに近い 米・露の指導者と会見し、今話題のチベット亡命政府のダライラマと昨秋ロンドンで公式会見し、「チベットの自治要求」に一定の理解・指示を示した 当然のことながら、このあと中国政府はこれには不快感を示したが・・

 さて話は戻る メルケルは演説中「パレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃にさらされるイスラエルの安全保障に強い理解を示し、ドイツがイスラエルに対する支援を続ける姿勢」を強調した これは演説した場所<ユダヤの地>に対する配慮もあっただろう

 しかし「パレスティナ難民地区には行かなかった」・・とういうから、どう見ても「イスラエル側の味方」であるというのに等しい この結果、EUの中心国ドイツの「お墨付き」をもらったイスラエル軍の今後の行動が心配になってくる さらにパレスティナ側の先鋭急進派のテロも激化するかもしれない ドイツ側に引け目があるにしても、ある意味「罪作り」ではある

 それにしても、こういう「勇気ある発言」は時として、一国のリーダーのあり方に示唆を与えてくれる なぜか今の日本の某首相は「訪日予定の中国首相」に配慮してか、「ギョーザ事件」のきちっとした「詰めと解決」もできなかった 様々な国内事件、案件処理にも評論家のような「第三者的発言」を繰り返すだけで、理念も指導力も決断力も無い(ように見える) また党内政府内でも統率力が無く、無責任な週刊誌によると、現職大臣でさえもう「次の首相?」と仲良くしているという 
 
 こういう「外国にアピールも出来ない、国内でも指導力不在」の総理大臣を持たざるを得ない日本は不幸である 首相には理念がないのか、発言できない環境なのか、生来気が弱いのかよく分からない 政局はただ空転しているだけである 野党第一党の不可解な行動とも合わせて見ると、日本はとても「先進国・民主主義国」とは言えない感じがする

リンク:アウシュヴィッツ強制収容所
http://www.asahi-net.or.jp/~VR3K-KKH/auschwitz/toppage.htm

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