チョーアナログな喫茶店2009年09月16日 23時38分56秒

 岡山県の県北、津山市の「できたての新しい喫茶店」に行ってきた-と書いても特段新鮮さはない 「店内全面禁煙、駐車場なし」ということ以外は特に変わったこともない店である しかしここのオーナー夫妻が私の長年の友人である

 遡って今から40年ほど前、筆者が就職後数年して職場に入ってきた男がいた 彼とは独身同士の気安さもあって仲良くなり、勤務時間後はよく食べに行ったり、飲みに行った 彼の車で交替運転で東京まで行ったり、あちこちを観光して回った その彼も組合活動のなかで好きになった女性と結婚し、やがては親の住む津山に帰っていった

 それから幾星霜、数年前彼から「早期退職した」という挨拶状が来た ここから先は「非常勤の勤務」だという そしてこの夏またも彼から葉書が来た 「長年夢として思い描いてきた喫茶店を開きました ぜひお越しください」と言う意が書かれていた 実家の母屋を改造して店にしたという  堅い職業をしていた彼がこれまた堅い職業だった奥様と柔らかい仕事の「喫茶店」を開いたことも驚いた

私たち「団塊の世代」は今や60代であるが、皆々元気である ホンの一部の物故者を除けば、「第二の人生何をやってやろうか?」という人たちばかりである 中学、高校の同窓会は盛んに開かれて旧交を温め直しているし、私も大学時代の友人と数年前から時々会っている

「人生わずか五十年」の時代ならもうすでに「好々爺」で孫と遊ぶのだろうが、今の六十代は「元気!元気!」である お金も少々あって時間がいっぱいある者たちである 海外旅行のリピーター、NPOを立ち上げて活動している者、ユネスコ・ユニセフなどでヴォランティアをしている者、友人とバンドを組んでがんばっている者、地域興しの中心者などなど毎日が忙しい人たちばかりである

こう考えると今までの職業とまったく関係ない「お仕事」を始めても、彼の言うように「長年の夢を実現した」だけのことである もっと言うと、「これをしなければ人生で後悔する」のであろう これも早期退職した私自身「これをしなければ後悔する」とばかりに大変よく旅に出かけ見聞をおおいに広めている そういう意味では、彼の心情は大いに理解できる

前置きが長くなったが、昨日その「彼の夢の店」に行った ドアを開けると、古い民家を上手に改造した落ち着いた店構えである 案の定「開店祝い」の花鉢が足の踏み場もないほど並んでいる 業者からの物はほとんど無い 彼が面倒を見た人たちや元同僚などからである 彼の人柄と人間関係の広さが伺われた

彼の店にはホットコーヒーは基本三種類、あとは紅茶、ジュースなどベーシックな物ばかり、軽食はサンドとトーストくらいでメニューは少ない 「食べ物を出すと儲かるらしい」というと、「儲からなくて良い」とさらっと言ってのける 「美味しいコーヒーを出し、客が喜んでくれ、話が弾めばよい」 そういう感じである

 そのくせ豆や水にはこだわっている 豆もUCCとかアートとかキーとかいう大手の物ではなく、地元のブレンダーが作り上げたマイナーブランド、珈琲用水は濾過器を通したもので、お冷やの水は「大山の自然水」なのだという 「自然水」といっても、当然谷川の水ではない

また彼は気まぐれである 時々頼んでもいないコーヒーを少しだけ入れてくれ、「これどう?」と訊く また時としてオツマミが出たりスルメが出たりすることもある 「どういう場合に出るのか?」と訊くと、「その日の気分と相手による」というアバウトな答えである この「超アナログ」な経営姿勢がこの店の魅力である この「ホッとするような雰囲気」が彼の理想でもある こうしていても客が三々五々やってくる 帰るときはみんな優しい顔である 

 その店の名前というのが「珈琲・優しい時間」である  津山にお行きになる方は「どのくらいアナログか」覗いてみては如何?

「優しい時間」・・津山市吹屋町7tel 0868-22-4871
            openhour10-18 定休日・木曜日
           場所は「アルネ津山」そば

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック