オランダの道路・交通事情と人々の生活(1)2006年10月05日 17時37分41秒

アムステルダムの歩道
 上はオランダの首都、アムステルダムの古い地区である。取り立ててどうということもない写真のようだが、日本と違う所がいくつかある。もちろん「車が右側通行」とか言うことではない。道路造りのコンセプトの話である。

 写真の左半分を見ていただきたい。左端が歩行者専用、その右の色が濃い部分が自転車道、たまにバイクが走っていたりする。その右はトラックが荷物を下ろしたり、人が乗降する場所だ。

 さらに外の灰色のえぐれた部分はパーキングで、ここの場合は無料。もっと町の中心部では、駐車券を自動販売機で買い、車の窓に張っておく。駐車部分のしきり方が、日本とは違って数台ずつになっている。ここの人の駐車技術は絶品で、車長+60cmあればハンドルを切り返しながら何とか入れてしまう。これは38年運転している私にもできない。

 このように、日本で言う「歩道部分」が縁石つきではっきり色分けし、なおかつスペースにゆとりがある。日本ではそれが一緒だから、「メールを打ちながら片手でハンドルを握る」若者が、老人にぶつかって死なせた・・とかいう事故(事件)が起こる。このくらいスペース区分帯があると、事故も起こりにくそうだ。

 さらに気がつくのは、この国が「自転車王国」ということだ。走る自転車が多い。また、自転車をつなぐスペースがたくさんある。これで「違法駐車」が防げる。もちろんこの普及も、この国の最高地点が58mとかいう「完全平坦地」のおかげもあるが、さらに健康志向とスローライフのライフスタイルがあると思われる。

 この国はもともと国土が狭く、そのため歴史的には海外進出をし、現在でも海外移民の多い国である。土地の狭さはまた干拓をもたらした。学校時代に社会科で、「オランダ=干拓=ポルダー・・」などと習った記憶もあるであろう。そういう土地が狭く、人口密度の高い国でも、こういう「社会資本」のスペースは「贅沢」につかう。

 歴史も町作りの歴史も違うから一概にはいえないが、日本人から見るとうらやましい。日本は「物がないのを、精神で置き換えた」文化である。オランダ人も決して豊かでは無かったから、「外食」はしなかったらしい。今でもレストランは少ないように思える。

 こうことから、外国人から「オランダ人はケチ」と見なされ、「ダッチ・アカウント」という「ネガティヴ」な表現をされてきた。しかし、このような町作りのコンセプトは、決して「ケチ」ではない。ここに彼らの合理性を見る。

 週末にヨットで運河を走り、夏の夕方にマイボートで町中の小さな運河で夕涼みをする、休みの日は家族で自転車を連ねて、「自家製サンド」を持ってピクニック、キャンピングカーを持つ人はみんなでキャンプ場などという生活は、彼らが本当の「ケチ」ではなく、金の使い方が違うだけだ。

 日本人は「家族で外出」になると、必ず「ファミ・レス」に寄る。また家族で何万円も出して「テーマ・パーク」で遊ぶ。また学生が携帯を打ちながら歩いている。さらに若い子がいわゆる「ブランド・バッグ」を当たり前に持っている。

 今回の旅では、上のようなオランダ人はほとんど見かけなかった。どちらが豊かな生活なのだろうか?「本当の豊かさとは何か」を、日本人はもっと考える必要があるかもしれない。

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